【MLB】シーズン終了、インディアンズの今シーズンをざっと振り返る
日本時間2017年10月12日、地区シリーズ第5戦、今季の世界一最右翼のインディアンズがヤンキースに5-2で敗れ、まさかのシーズン終了となってしまいました。
昨年のリベンジを大いに期待していたので、ファンとしてはとても残念な気持ちですが、レギュラーシーズンは本当に素晴らしい戦いを見せてくれたと思います。
1.インディアンズ2017年地区シリーズを振り返り
地区シリーズ第1戦は開幕投手がクルーバーではなくバウアーというサプライズで始まりました。そのバウアーが6回と1/3と無失点に抑える好投を見せました。打線も5安打ながら、四球を6個選ぶなど、インディアンズの野球をしっかりを行い4-0で見事勝利。
第2戦は絶対的エースのクルーバーが打ち込まれ2回と2/3でまさかのノックアウト。一時は8-3とリードされ、絶体絶命のピンチでしたが、ヤンキースのミス?もあり、6回の裏に満塁のチャンスを作ります。そこでリンドーアが満塁ホームランを打ち1点差。8回にはブルースの2試合連続となる一発も飛び出し8-8の同点に。その後、試合は延長までもつれ、迎えた13回の裏、先頭のジャクソンが出塁&盗塁。ノーアウト2塁のチャンスでゴームズがサヨナラタイムリーを放ち、奇跡的にサヨナラ勝利。
と、ここまではインディアンズ優勢でしたがターニングポイントになったのがヤンキースのホームで行われた第3戦。先発カラスコ、田中の壮絶な投手戦でスコアボードに0が並ぶ展開。6回にはリンドーアの大飛球をフェンス側でジャッジがジャンプしてキャッチ。これが結果的にはかなりシリーズを左右するプレーになってしまいました。さらに、7回にリリーフエースのミラーがバードにソロホームランを打たれ、そのまま逃げ切られて1-0で敗北。
第4戦は第1戦で好投したバウアーとワイルドカードで先発したセベリーノの投げ合い。しかし、バウアーは、2回にサードのアーシェラのミスから崩れ自責1ながら4失点。その後もエラーから失点を重ね、最終的に7-3で敗北。打線もサンタナとペレスにホームランが飛び出すものの、チームとしては4安打に押さえ込まれてしまいます。
そしてホームに戻って行われた運命の第5戦。インディアンズはクルーバーをマウンドへ送ります。しかし、クルーバーはグレゴリウスに2本ホームランで打たれ、3回と2/3でまたもや早々に降板。一方で相手先発のサバシアはストライク先行で見事な投球を披露し、4回までインディアンズ打線をヒット1本に押さえ込みます。5回にようやくつながりを見せ、4連打で2得点、1点差まで詰め寄りますが、反撃はここまで。結果的に5-2で3連敗。2年連続のリーグ優勝決定シリーズ進出とはなりませんでした。
2.地区シリーズ反省
2勝して圧倒的に有利な状況に持ち込みながらも、まさかの3連敗で早々にPSから脱落してしまったインディアンズ。去年のリーグチャンピオンで今年もワールドシリーズ進出最右翼とみられていましたが、どうしてこのようなことになってしまったのでしょうか。
まず、ヤンキースについて、ジャッジを抑え込むことには成功しましたが、ここまで点を取られてしまったのですから、やはりヤンキースの打線は強力だったと言えます。さらにリリーフもロバートソン、カンリー、チャップマンに対しては手も足も出ず、完全に力で押さえ込まれてしまいました。
ヤンキースの持ち味は長打力と強力リリーフ陣でしたが、見事にそれが出てしまう形になってしまいました。
敗因その②:粗末な守備と焦り
管理人が一番大きな敗因だと感じたのは野手です。まず打つ方では、1、2戦はしっかりと四球を選び、相手の投手にプレッシャーをかけながら、良い攻撃ができていました。(正直にいうと第2戦は完全に負けゲームでしたが)
問題なのは第3戦です。エンカーナシオンが怪我で離脱してしまったのも大きな痛手でしたが、ヤンキースの田中のスプリットで歯車が狂ってしまった気がします。田中は制球が素晴らしく、インディアンズ打線はストライクゾーンの低めからボールになるスプリットを見極めることができませんでした。特に、エンカーナシオンが抜けた中で打線の中軸となるブルースとラミレスが全く田中を捉えることができず、打線全体も完全に沈黙してしまいました。
シリーズを通しての上位打線の成績(左が打率、右がOPS)
1 リンドーア .111 .551
2 キプニス .182 .455
3 ラミレス .100 .282
4 エンカーナシオン .000 .222
インディアンズ打線の強みは高出塁率で、先制・中押し・だめ押しができるところ。しかし、個人でしっかりとボールを見極めて多く出塁できたのはサンタナだけ、さらに5試合中4試合で先制されるという展開でした。インディアンズはビハインド時の打率がリーグワーストと以前の記事で書きましたが、やはり先制されたことで焦りが出てしまった感じはあります。
打つ方も大問題という感じですが、それ以上に守備にエラーが出たのが大きかったです。今シーズンのインディアンズはエラーが最も少ない球団で、去年の快進撃も野手の守備が支えた部分は大きかったと思います。第1戦、第4戦のエラー0は良かったのですが、2戦目は2エラー、4戦目は4エラー、5戦目は3エラーと完全に崩壊。特に4戦目は7失点ながら自責は1という具合。守備からリズムを作るという言葉がありますが、地区シリーズでのインディアンズはその全く逆でした。
敗因その③:去年とは全く異なる立場
そして、もう1つ敗因として考えられるのは立場の違いだと思います。正直、ワールドシリーズまで進んだ昨年のインディアンズはあまり期待されていませんでした。周囲からの期待が薄い状況だったため、変なプレッシャーに駆られることもなく、自然体で野球ができていました。一方で今年はシーズン前からワールドシリーズ進出最右翼と期待され、さらにシーズン終盤では22連勝をするなど、アストロズとともにリーグ最強のチームという立場でした。このような周囲の期待からのプレッシャーが全くなかったとは言えないと思います。特にレギュラーシーズンではMVP級の活躍を見せたラミレスはそれが顕著に表れていたような気がします。
投手陣は敗因なのか?
また、インディアンズの特徴の一つとして圧倒的な投手力があります。その中で、絶対的エースのクルーバーが2戦とも早々に降板してしまったのは大きな誤算に思えますが、実は管理人的は「有り得るかも」程度には考えていました。レギュラーシーズン中もクルーバーがホームランを打たれる場面というのは意外にも多く、それでも防御率が良いのは無駄なランナーを出さないからです。そのため、クルーバーが長打力のあるヤンキース打線に対して、序盤にホームランを打たれ、フランコーナが早めに継投に出る可能性もあると思っていました。他の先発投手ではカラスコは最高の投球を披露してくれましたし、バウアーも4戦目は不運が重なったもののよくやってくれました。
リリーフ投手陣もクレビンジャーは誤算だったものの、PSではレギュラーシーズンとは違うことを考慮しても概ねよく抑えてくれたと思います。
インディアンズが敗退した原因について、投手に全く責任はないとは言えませんが、やはりそれ以上に野手のミスが大きな痛手となってしまいました。
(下の記事では2017シーズンのチーム・個人の成績をまとめているので参考にどうぞ)
moriya08.hatenablog.com
3.レギュラーシーズンのまとめと来年への期待
チームとしては、22連勝は引き分けを挟まない記録で史上最長、102勝は球団史上2位、個人では3人の投手が17勝以上190奪三振以上(史上初)、特にクルーバーはサイ・ヤング賞最右翼、カラスコもサイ・ヤング賞級の投球を見せてくれました。ブルペンもシーズン通して安定し、投手陣全体のK/9 10.08は驚異的な数字です。野手でもリンドーアやラミレスは大きく成長し(リンドーアは別ベクトルのような気がしますが)、新加入のエンカーナシオンも期待通りの働きを見せてくれました。
ただ、2018年のオフはFAで主力選手の何人かが抜けてしまいます。
【主なFA選手】
・ブライアン・ショウ
79試合 4勝6敗 3セーブ 防御率3.52
・ジェイ・ブルース(メッツ、インディアンズ両方の成績)
141試合 打率.254 34本塁打 101打点 出塁率.324 長打率.508 OPS.832
154試合 打率.259 23本塁打 79打点 出塁率.363 長打率.455 OPS.818
・オースティン・ジャクソン
85試合 打率.318 7本塁打 35打点 出塁率.387 長打率.482 OPS.869
MLBのFAは基本的に移籍することが多いですが、この中でも特にサンタナとショウはインディアンズ・ベースボールを象徴するような選手ですから是非残ってもらいたいものです。
インディアンズは2017年の総年俸ががMLB18位と決して金満球団というわけではないので2018年オフの大型補強はあまり期待できませんが、現在ア・リーグの中部地区にはインディアンズの脅威となるような対抗馬は今のところいません。そのため、2018年シーズンも地区優勝は十分可能であると言えます。さらに言えば、来シーズンの方が今シーズンよりも期待できるかもしれません。今年は後半戦で圧倒的な戦いをしすぎたために、厳しい場面に慣れておらず、PSではビハインドの状況で手も足も出ませんでした。そのため、来シーズンに戦力が多少落ちたとしても、レギュラーシーズンで今シーズンよりタフな戦いができればPSでも大きな期待ができると思います。
とりあえずインディアンズの今シーズンは終了し、管理人も気持ちがNFLに傾きつつある状況ですが、ワールドシリーズまで楽しみたいと思います。
そして来年こそは3度目の正直ということでインディアンズにワールドシリーズを制覇してもらいたいです!!